栄養補給禁止令。



アメリカでホストに住んでていた時に

キッチンの換気扇の横の棚は

ビタミン剤に占領されていた。

薬屋さんだとか、

病気だとかってわけじゃない。

しかもあたしのホストファミリーはファミリーじゃなくって、

シングルマザー。

つまり、おばさんが一人だ。

それなのにあのビタミンの量。

さすがアメリカ。

ある意味宗教ともいえる「メガビタミン」信仰が盛んである。

などと思っていたのはもう五年も前の話で、

最近は日本人でもやたらにビタミン、

ミネラルなどを錠剤で補給するようである。



本質的には不自然だと思いながらも

ある程度その行動には納得がいく。

日本で食べられている野菜は土壌の弱さと

不自然な季節での日照関係の問題、その他などで

10〜20年前の半分の栄養もないと言われている。



しかもそれを冷凍食品などで食べるとなると

加熱の後、冷凍、そして電磁波で再加熱。

あぶない病原菌が低温と高温で死んで安心ですネ。

などと言ってる場合では無く、

いや、それも真実なのだが、だがしかし。

駄菓子、菓子。

食べ物の栄養素も壊れていくわけで。

たとえば冷凍食品じゃなくても牛乳などは明かな所だろう。



一番頻繁に売られている牛乳だと

130度で3秒ほど加熱消毒されてる物が多いと思う。

低音殺菌だと60度ちょっとでその倍以上の時間だろう。

メーカーとしては時間が短い方が良いのは当然かもしれない。

そして更にロングライフ牛乳だと前者の温度で後者の時間程度。

そんな所だろう。

そして消費者のほうとしても

長持ちする物を選ぶ傾向にあると思われる。

そして、たとえば牛乳のタンパク質は60〜70度の間に固まる訳であり、

同じ様にビタミン、ミネラルなども熱に弱いものは過半数が壊れてしまうかもしれない。

それは極論であり、言い過ぎだが。

そうなってくると食事などでは栄養が補いきれない。

補いきれない事はないとしても

昔の人間が食べていた量の栄養素を摂取しようと思うならば

倍の食事しなければいけないことになるだろう。

どういうビタミンかミネラルだったかは忘れたが、

ほうれん草に含まれる何らかの栄養素が

30年前の16分の1に減っているという話を聞いた。

その栄養素をほうれん草だけでとろうと思うならば、

昔の人の16倍のほうれん草を取らなくては行けないわけだ。

その場合人間は鉄分の取りすぎで病気になってしまう。



結論的にビタミン剤で調節するのお手軽ではあるようだ。



しかしながらビタミン、ミネラルを取ると言うのは必要な事なのだろうか。

もちろんある程度は摂取しなければ人間は生きては行けない。

だがおそらく、

ビタミンを錠剤などで摂取しつづけて成長した人間は

消化器の働きが弱って居るのではないだろうか。

胃を壊して入院し、

点滴だけで生活をしている病人は胃が退化してしまって

元の食事に戻す為には長期間のリハビリテーションを強いられる。

もし生まれてから20年くらい栄養剤主体で人間が育てられたとしたならば

その人間の腸はどうなっているのだろうか。



そしてたとえば、骨を伸ばす為のカルシウム、

風邪をひいたた時ののビタミンCはどうだろうか。

骨を作るのにカルシウムが必要なのは間違い無い事だ。

何故なら骨はカルシウムで出来ており、

人間は基本的には体内でカルシウムを作れないからだ。

しかし、しかしだ。

カルシウムを摂取しても骨は作られない。

骨が成長するにはビタミンDが必要なので

カルシウムだけではどうにもならないと言うわけだ。

ではビタミンDの錠剤を飲もうか。

ビタミンDがきちんと体内でカルシウムに対して働くにはビタミンBが必要だ。

ではビタミンBも錠剤で。

骨の成長には運動によるある程度の刺激が必要だ。

運動は錠剤にはならない。

風の場合のビタミンCはどうだろうか。

いつだろうか、

化学的にビタミンCが風邪にいいと言われ始めたのは。

いつからだろうか、

科学が魔法や奇跡とかより信じられ始めたのは。

たしか、アーサー・C・クラークというSF作家だっただろう。

「高度に成長した科学技術は魔法と区別できない。」と言ったのは。

本来の意味は「科学は魔法の用に奇跡的な事も起こせる」という意味だ。

しかしながらこういう取り方はできないだろうか、

「科学は魔法の用にうさんくさい。」

何が言いたいかと言うと、

ビタミンCの話だ。

「ビタミンCがかぜに効く。」

そんな根拠はない。

迷信と言っても良いだろう。

だいいち「風邪」という病気が医学的に何なのかも解っていないのに

風邪に聞くかどうかも無いものだろう。

ビタミンCが風邪の予防に聞くのはおそらく真実だ。

ビタミンCは人間の体の基本的抵抗力を高めるので、

言ってしまえば癌と1部の病気以外の全ての病気を予防するだろう。

ビタミンCは風邪の予防に効く。

ひょっとしたら統計学的には真実だという結果が出ているのかもしれない。

それがいつのまにか

「風邪に効く」と、なってしまったのではないだろうか。



この様に栄養の化学というのは明かであるように見えて不確かな所が凄く多い。

もちろん明かな所も沢山あるのだが、

不確かな情報が多すぎるのだ。それ以上に。



そう考えると結論的に

「X歳の女/男性はこれだけの栄養素が必要です。」

っていうのはもっと怪しい。

体重とか違うんだからもちろん必要な栄養量も違うわけだし、

更に内臓の栄養素個々に対しての吸収反応も人によって違うだろう。

個人個人が自分をモルモットにして必要な摂取量を調べると言うのであれば

残念ながら反論の余地はないのだが。

病気に対してもそういう考え方をするべきだ。

本当にそうなのかは確かめていないが、

胆石の患者はカルシウムを沢山取るとヤバイのではなかろうか。

患者一人一人の単位で考えないといけないのではないだろうか。



栄養だとか体の事は人によって違うだろうから

そういう物に基準値を設けるのはよいとしても、

基準値を求めて、

そしてどれに従うのはいけないことではないだろうか。

病気や健康の為には科学的に言って

薬剤より効く物は色々あるだろう。

たとえばバファリンの成分の50%は愛情だそうだが、

それだけ愛情とか優しさって物は

病気の治療に効果があるのかもしれない。

もちろん50%が愛情だとしたら残りの50%は憎しみだろうとは思うが。











注:ビタミンCについては風邪に効くという学説はある。一応。
  ただ、完全に証明されてるかどうかは。って事。












SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu